2020.10.07

2020.10.08

不動産投資で節税はできる?シミュレーションと失敗例をわかりやすく解説

不動産投資を始める目的として代表的なものの一つが“節税”です。投資用不動産の販売でも「節税に効果的ですよ」というのは営業マンの常とう句となっています。

結論からいうと、不動産投資を利用した節税は可能です。ただ、節税だけを目的とした不動産投資はデメリットが多く、望んだとおりの節税効果が見込めないこともあります。

今回の記事では、不動産投資での節税について、見込める効果やデメリット、失敗例などを紹介していきます。節税目的で不動産投資に手を出す前に、一度チェックしてみてください。

そもそも不動産投資で何が節税できるの?

不動産投資によって節税が可能なのは“所得税”“住民税”“相続税”の3つです。なぜ節税できるのか、それぞれ実例を交えながら確認していきましょう。

所得税と住民税

所得税と住民税は、課税所得によって支払う金額が増減する仕組みとなっています。物件の減価償却費を不動産経営の経費に計上することで、会計上の所得を減らせます。

減価償却費とは、建築から期間の経過した建物は徐々に資産価値が低下することから、毎年経費に計上できる会計上の損失のことで、手元の現金を減らすことなく所得から経費分を減額できます。

不動産経営の赤字は給与所得と相殺する“損益通算”が可能なため、不動産経営の赤字の分だけ所得に課税される所得税と住民税を抑えることが可能です。

では、具体的にどの程度の節税が可能なのか、不動産投資を行なう場合と給与所得のみの場合で、課税額を比較してみましょう。

※所得税、住民税は基礎控除額も含めて計算しています。また、復興特別税は加味しておりません。

※住民税については、自治体ごとに別途均等割が発生します。

項目不動産投資なしの場合不動産投資ありの場合差額
給与収入880万円880万円
給与所得控除195万円195万円
給与所得685万円685万円
不動産所得0円△100万円
合計所得金額685万円585万円△100万円
所得税の合計額84万6500円64万6500円△20万円
住民税の合計額64万2000円54万2000円△10万円

以上の例では、同じ給与収入でも、支払う所得税と住民税の合計額に30万円の差が出ます。不動産投資が赤字の場合に限定されますが、住民税・所得税を減らすことが可能です。

相続税

財産を相続する際に発生する“相続税”についても、不動産投資で節税が可能です。現金そのものと、現金と同じ金額で購入した不動産では、不動産を相続させるほうが税金は安くなります。

もし仮に、子2人のケースで3億円を現金で相続した場合と、不動産の物件として3億円で相続した場合を比較してみます。仮に不動産の評価額を時価の8割とすると、2.4億円の評価額となります。

項目不動産投資なしの場合不動産投資ありの場合差額
相続財産の種類3億円分の現金3億円の不動産
相続税評価額3億円2.4億円
基礎控除4200万円4200万円
課税対象額2.58億円1.98億円△6,000万円
相続税額(合計)6,920万円4,540万円△2,380万円

以上のように3億円の不動産を子2人に相続した場合だと、現金3億円の相続と比較して、2,380万円の節税効果が期待できます。

また、不動産の相続では、最大80%相続税を節税できる“小規模宅地の特例”制度が利用できる場合もあります。加えて、不動産のまま相続すれば家賃収入も見込めるため、残された家族の生活の助けにもなるでしょう。

このように、相続の面からも、現金よりも同じ価格の不動産を相続させたほうが有用な場合も多いです。

日本は海外に比べると税金が高く対策が必要

海外諸国と比較して、日本は税金の高い国として知られています。税率の基準として累進課税が設定されており、お金を稼げば稼ぐほど税率が上がるシステムを採用しているからです。例えば、日本の所得税は最大45%となっており、仮に課税所得が4,000万円超となると、実に所得の半分近くを国に徴収される可能性があります。

また、平成27年に行なわれた税制度の改正で、以下のように基礎控除額が大きく減少しました。

改正前の基礎控除額:5,000万円+法定相続人の数×1,000万円
改正後の基礎控除額:3,000万円+法定相続人の数×600万円

現状の日本では、収入の多い人ほど何も対策しなければ多額の税金を支払うことになります。課税額を抑えて支出を減らすために、何らかの節税対策が必要だといえるでしょう。

なお、日本では累進課税を取っており、所得が大きい人ほど税率も大きくなりますので、不動産投資は、所得が大きい人ほど節税効果が高くなる可能性が高いです。不動産投資を検討する際は給与と払っている税額のバランスを考えて判断しましょう。

節税目的だけの不動産投資は避けたほうが良い理由

ここまで“不動産投資で節税が可能”と紹介してきましたが、節税だけを目的として投資用不動産を持つことは避けたほうが無難です。なぜなら “キャッシュフローの悪化”と“耐用年数の終了”が懸念されるからです。

キャッシュフローが悪化する理由は、節税目的の不動産投資の場合赤字経営が前提となるからです。節税にこだわるあまり支出を増やし、収入を減らすと、経営状態が大幅に悪化します。

毎月の収入は、不動産経営を継続するための体力そのものです。手残り現金が少ない状態では、家賃相場の低下やローンの金利の上昇など、突発的なリスクに対応できなくなります。

また、減価償却による節税効果は期限付きだという点も留意しなければなりません。減価償却は、建物の構造ごとに決められた耐用年数の期間でのみ可能だからです。

例えば、木造アパートなら法定耐用年数は22年と決められています。新築で購入した場合も、減価償却ができるのはこの期間が切れるまでとなっており、中古物件の場合は耐用年数がさらに短くなるため注意が必要です。

以上の2点から、節税はあくまで不動産投資の目的の一つとして考えておくのが無難です。

不動産投資の失敗例

節税効果を期待して不動産投資を始めても、やり方次第では思ったように効果が出ない場合や、節税額以上の損をすることもあります。ケース別に3つの失敗例を見てみましょう。

ケース1:新築区分マンションを選んでしまった


“自己資金の少ない人でも始めやすい”と話題の新築区分マンションですが、節税効果はあまり期待できません。一棟マンションと比較すると購入価格が安く、その割に耐用年数が長いため、年に減価償却できる金額が限定的だからです。

初年度は、物件にかかった諸費用を計上できる分、節税効果は大きいのですが、年々効果は下がっていきます。

ケース2:年間の赤字が相続税の節税効果を上回った


不動産経営の収支が赤字となり、相続後に節税効果以上の損失が出ることがあります。不動産には修繕費や上昇した金利など、突発的な支出はつきものです。仮に相続の際に100万円節税できたとしても、不動産投資自体が赤字で、節税額以上の損失が出ることは珍しくありません。

不動産という形で相続するかどうかは、物件に期待できるキャッシュフローと、相続税の節税効果を比較して検討する必要があります。

ケース3:不動産を短期間で売却し税金で利益がほぼ相殺されてしまう


長く所有して損失が出るのが不安なら早めに手放すのが良いのかというと、そうともいえません。物件の譲渡所得にかかる税金は、保有期間で税率が異なるからです。

所有期間5年以下の不動産の譲渡では“短期譲渡所得”と呼ばれる税区分が適用され、住民税と所得税を合わせて39.63%もの税率になります。所有期間が5年超の“長期譲渡所得”が適用される場合、税率は20.315%ですのでこの差は非常に大きいです。

ケースによっては売却で得た利益が税金の支払いでなくなることもあります。不動産の短期での取引を前提とした投資には注意してください。

まとめ

不動産投資では、所得税と住民税・相続税の節税が可能です。日本は海外と比較して税率が高いため、不動産投資を税金対策の一環として検討するのも選択肢の一つになります。

一方、節税だけを目的に不動産投資を始めると、うまく節税効果が出ない場合や、投資を続けるのが難しくなることも考えられます。節税効果を期待する場合、不動産のキャッシュフローと、減価償却による節税額をシミュレーションしたうえで、挑戦するかどうか検討するようにしましょう。

CONTACT

お問い合わせはこちら